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お知らせ日本冒険遊び場づくり協会からのお知らせです

緊急メッセージ 「適切な理解のもと、子どもの遊びを見守るために」

特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会では、2020年3月2日付で久米隼(理事・事務局長)より新型コロナウイルス感染症に関して緊急メッセージを発信いたします。

 

緊急メッセージ「適切な理解のもと、子どもの遊びを見守るために」

 

●はじめに
 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、2月28日に文部科学省から全国の自治体や教育委員会に対して、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の臨時休校の通知(※1)が出され、いよいよ本日(3月2日)以降、多くの自治体で休校が始まります。
 保育所や幼稚園、学童クラブに関しては政府の要請により預かりを行うようですが、児童館などの公的施設に加え、各地の冒険遊び場も閉園・活動中止となるところが多いようです。加えて、文部科学大臣からは2月28日の会見において、今回の臨時休校措置の実効性を担保すると言う名目で、「児童生徒に対し基本的に自宅で過ごすよう指導するとともに、子供たちが不要不急の外出をしないよう関係省庁に協力を求める」との発言がありました。
 全国で一斉に今回のような要請・措置がとられたことは、これまで経験をしたことのない緊急事態だと私たちは考えます。大人にとってもかなりの衝撃と影響をもたらしていますが、それは子どもにとっても同じだと考えます。
 子どもにとって「遊び」は生きる上で必要不可欠な営みです。それは単純に心身の発達に関することだけでなく、日々の精神安定においても同様です。しかも今回は友達と接することも難しくなります。それが子どもにとって今回の出来事が(また、子育て支援施設なども閉じてしまっている状態は、小さな子ども抱える親御さんにとっても)緊急事態であると考える所以です。

 

●緊急時の子どものストレスと遊びに関して
 当協会はこれまで東日本大震災をはじめとした大きな災害発生時に、被災地において遊び場づくりの支援を行ってきました。その中で、子どもたちは抱えた様々なストレスを、遊びを通して発散しながら自らを癒そうとすることを、経験的に学んできました。そして時には「地震遊び」や「津波遊び」といった形で、経験した事象を遊びにする姿を何度も目にしてきました。

 これらの経験は現在は広く災害支援の現場で共有されており、ユニセフや内閣府、各自治体のマニュアル等にも子どもの遊び場の必要性が明記されています。

 

●親御さんをはじめ、子どもと接する大人の皆様へ

 上記のような経験から、一週間も自宅待機が続くようなことがあれば、子どもたちは過度なストレスを抱えていく可能性が高いです。もしかしたら「新型コロナウイルス」をもとにした遊びを始めることもあるかもしれません。

 しかし、それは子どもたちにとっては自然な感情表出なのです。ですので「不謹慎」と思わずに見守っていただけたらと思います。
 そして、それに限らず、思いきり遊べない、また常に大人の目が近くにある状態が長く続けば続くほど、子どもたちは普段とは違う言動を表出してくることが予想されます。子どもたちも少なくないストレスを抱えているはずですので、子どもたちの気持ちを受け止め、「安心感」を与えてあげてください(※2)。子どもも子どもなりに、この状況を理解したいと思うでしょう。できるなら、その子の年齢に合わせた言葉で、説明をしてあげることも大切なことだと考えます(※3)。
 また、はじめにで述べたように、子どもにとって「遊び」は日常において必要不可欠です。お家の中であっても、例えばお風呂で思いっきりシャボン玉で遊びや、押し入れで探検ごっこなど、色々な遊びが可能です。インターネット上では、屋内での遊びのネタをまとめたサイトもありますので、「おうち遊び 子ども」などで検索をしてみてください。
 加えて、なるべく自宅で過ごすようにという話ではありますが、新型コロナウイルスは、飛沫感染か接触感染によって起こり、現時点では空気感染は起きていないと考えられています(※4)。

 また、3月1日に行われた厚生労働大臣の会見では、不特定多数の人が集まる場所、換気が十分ではない場所では感染を拡大するリスクがあると言及されています(※5)。

 つまり、不特定多数の人が大勢集まるような場所に行かなければ、外に出ても感染のリスクはそれほど高くないと言えます。ずっと家の中で子どもが過ごすことは、ストレスが溜まる要因にもなります。時々は外に出ることも子どもも保護者の方も気分転換になるかもしれません。

 そのときは、人が集まらない場所を選び、帰宅したら手洗い・うがいは十分にしてくださいね(※6)。

 

●遊び場づくりや居場所づくりを行なっている皆様へ
 現状に様々な感情を抱えながら、今このような時だからこそ、どうにか場を開けることができないかと考えている方も多いかと思います。ただ、それは活動継続に対するリスクも生まれるのでとても判断が難しいかと思います。
 しかし、状況は刻一刻移り変わっており、昨日は分かっていなかったことが、明日には解明されて可能になるような状況でもあります。政府やそれぞれがお住まいの自治体の情報に加えて、信頼性の高い情報を集めながら、備えることもできることの一つかと思います。また、利用者の方々に適切な情報を発信することもできるのではないでしょうか。

 

 子どもたちが1日でも早く思いきり遊べる日々になることを祈ります。
 また、保護者の皆さんにとっても、しばらく厳しい日々が続くかと思います。息がつまることも増えるかもしれません。時には子どもに動画を見せっ放しでもいいと思います。ご自身も生活に遊び(ゆとり)を持つようにしてください。
 皆さんに早く平穏な日々が訪れることを願っております。

 

2020年3月2日

特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会

理事・事務局長 久米 隼

 

 

 


※1:https://www.mext.go.jp/content/202002228-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
※2:ユニセフの「災害時の子どもの心のケア」のページが参考になるので、ぜひご覧ください。
https://www.unicef.or.jp/kokoro/
※3:子どもに新型コロナウイルスについて伝える時は、藤田医科大学感染症科制作の「コロナウイルスってなんだろう」が参考になるかと思います。
https://drive.google.com/file/d/1BmSMcCNqn7_37B0avjoI8t1H3SnCKlEk/view
※4:厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」問4、問5参照
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
※5 2020年3月1日厚生労働省加藤大臣の会見内容より。
https://www.youtube.com/watch?v=n0Bw9gw0Jb4
※6:複数のニュース番組において、感染症の専門家より「屋外での少人数の遊びは屋内よりもリスクが低い(逆に人数が増えるほどリスクは高まる)」という見解が示されています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200228/k10012306941000.html
https://www.fnn.jp/posts/00050521HDK/202002281900_goody_HDK